<1次試験に向けて>
初めての受験では、1次試験において「受験希望の言語(私の場合)英語」「日本地理」「日本歴史」「一般常識」「通訳ガイドの実務」の5科目があります。
このうち、「英語」は英検1級を取得していると受験免除を受けることができ(その他の要件でも免除があります)ますので、この制度を活用しました。5教科と4教科では、かかる負荷が大きく違いますので、この制度は本当に助かりました。
本格的に4科目を勉強し始めたのが、令和5年4月でした。1次試験が8月20日でしたので、4ケ月と少々の期間、空き時間を見つけてはひたすら1次試験に備えました。この時期の塾の仕事は定期試験前を除き、土日はほぼフリーでしたので、図書館に午後から出向き、数時間籠りました。
塾という仕事柄、「日本歴史」「日本地理」の予備知識がありましたし、大学の専攻が「地理学」でしたので、この点でもかなり勉強がやり易かったと思います。とは言え、「日本歴史」において中学レベルから高校レベルまで引き上げる必要がありましたので、かなりの時間を割きました。また「日本地理」では、かなり細かい知識を要求されますので、暇を見つけては地図帳その他と、にらめっこの状態でした。
「一般常識」は、7月初旬に出る「観光白書」からの出題が多い傾向がありましたので、
この科目の勉強を始めたのが1次試験1ケ月前でした。かなりの分量があり、読むのが大変 でしたし、細かい数字を覚える必要があり苦労しました。
「通訳ガイドの実務」は、官公庁の研修テキストが出題範囲となっていますので、こちらを印刷し、最初から最後まで読み込みました。これも結構な分量がありますが、避けて通ることはできませんので時間を見つけては覚えていきました。
途中、模擬試験(6月中旬実施)を受験した結果、「一般常識」「通訳ガイドの実務」「日本歴史」の点数が合格点前後と不安を残す結果となりました。「一般常識」は本格的に勉強をしていませんでしたので、焦りはありませんでしたが、その他の2科目は焦りを感じました。模擬試験の結果を踏まえて、残り約2ケ月間は、「日本地理」以外の3科目に比重をおいた勉強を進めました。
<2次試験に向けて>
1次試験の自己採点の結果、
「日本地理」 82点(100点満点、合格基準点70点)
「日本歴史」 91点(100点満点、合格基準点70点)
「一般常識」 37点(50点満点、合格基準点30点)
「通訳ガイドの実務」47点(50点満点、合格基準点30点)
いずれも合格基準点に達していましたので、1次試験合格発表(9月末)を待たずに、2次試験に向けての準備を9月初頭から始めました。
9月以降は塾の仕事の繁忙期となりますので、12月10日の試験に向けて約100日間
は仕事と2次試験対策の両立に難儀しました。
1次試験同様、時間を見つけてはひたすら準備を行うという状況でした。
<1次試験に向けて>
一番使った書籍はこの2冊でした。特に右の対策本は数周行い、ほぼすべての内容を覚えきりました。
何度も繰り返すことで、記憶することができました。
過去どのような問題が出たのかを知ることは、いかなる試験においてもマスト(must)だと思っていますので、この2冊を入手し、各年度3周ずつ行いました。最新の過去問集(2022年度~)が見当たらなかったため、以下のJNTO 日本政府観光局サイト)にある過去問(2022~数年分)を印刷し、こちらも3周ずつ行いました。
難点は、著作権上、問題で使用された画像が掲載されていなかったことと、解説なし(当たり前ですが)の答えのみで、自分で調べる必要がありました。問題集及びJINT掲載分の過去10年間の過去問を解くことで、かなり力がつきました。
<参考>
過去問(JNTO 日本政府観光局サイト)
☆上記以外で使用したもの一覧
・「新編 中学校社会科地図 最新版」(いわゆる地図帳):帝国書院
・「アナウンサーが読む 詳説 日本史」:山川出版社
・「山川ビジュアル 日本史図録」:山川出版社
上記3つも使いました。「日本地理」では地図は必携アイテムですし、日本史図録は「日本歴史」で頻出の「神社仏閣」「仏像」「その他の建造物(城・著名人による建造物等)」「絵画」その他を覚えるのに重宝しました。
一般常識は、「観光白書」を読みながら、重要な数値をノートに左のように書いていきました。
何回も使えるように、自分で問題形式にして作成していきました。
左のように数字を頑張って覚えましたが、試験では、傾向が変わったのか、なぜかあまり出ませんでした。
「通訳ガイドの実務」も同様に問題形式にしていきました。
JNTO 日本政府観光局のページから3年分の過去問を印刷し、それぞれの問題について自分で解説その他を研修テキストを使いまとめていきました。
膨大な時間がかかりましたが、頭を整理することができ、良い結果につながりました。
<2次試験に向けて>
2次試験では、
①2分間のプレゼン(3つのテーマから1つ選んで英語でプレゼンを行う)、そのプレゼンに関する質疑応答が数問
②逐次通訳(120語前後の邦文を聞いた後すぐに、1分間で英語で通訳する)
③上記②に関連する内容の「突発的な状況」に対して、臨機応変な誠意ある対応を英語で行う。ネイティブの試験官と1対1で「ロールプレイ」で行う。
の3項目を評価されます。(合格基準は70%)
一番使ったのがこの2冊です。
テーマ別の英訳を参考にし、自分の表現に置き換えて原稿を作成しました。できた原稿を使って練習し、継続中のオンライン英会話の授業で数名の講師にプレゼンの練習をさせていただきました。
尚、600テーマありますが、すべてをやる時間はなく、70テーマで断念しました。ただ、いろいろな表現・語彙を習得できたのが大きかったです。
私にとってこの教材はもちろん、通訳ガイドとして今後も使える宝物です。
左の2冊もよく勧められるテキストですが、やる暇がありませんでした。
ただし、過去の「突発的状況対応」の内容をを30程度、このテキストから把握し、それに対する対応を英語でまとめ、これもオンライン英会話の講師とロールプレイを行い練習しました。
右の1冊は、同様に「突発的状況対応」の模範解答を参考にし、自分なりの対応をまとめるのに使いました。
「逐次通訳」の練習に使用しました。邦文の読み上げ速度が速く、途中で心が折れそうになりましたが、「忍の一字」で練習しました。約50テーマの練習を行いました。
この教材は、通訳の練習には最適ですので、暇を見つけて練習したいと考えています。
尚、実際の試験では読み上げ速度は非常に遅く(ノートを取れるくらい)、ある意味面くらいました。
<出題内容>
ちなみに、私は第1番目のグループ(10時~11時)で、問題は以下の通りでした。
(※時間が異なる6グループあり、それぞれ問題が異なります)
①「人形浄瑠璃」「兼六園」「合気道」から1つ選択して2分間プレゼン。
︎②<逐次通訳の内容>
抹茶に関することでした。
茶葉を粉末にしたもので、苦味と甘みのハーモニーが絶妙。
健康に良い成分も入っているなど・・・。
︎<ロールプレイ>
お客様は、4人組。
京都旅行中にお客様ご所望のカフェで休みたいが、1人1品頼まなきゃいけないのに1人が抹茶が嫌いだという状況。通訳案内士としてどう対応しますか。
<試験の状況>
①事前に準備した70テーマのどれもかすりませんでした。「人形浄瑠璃」「兼六園」「合気道」から選んだのは、もちろん「兼六園」でした。(身近でラッキーでした)
練習したことはありませんでしたが、「ことじ灯篭two-legged lantern」「前田家ゆかりの庭園」「四季折々の美しさを堪能できる」などなど英語で説明しました。
プレゼン終了後、ネイティブの試験から「informative!」と言われ、「やったー!」と思いました。
その後の質問は2つあり、以下の内容でした。
・「入園料はいくらですか。」
最近行ったことがありませんでしたので、以下のように正直に返答しました。
"I'm so
sorry, but I'm not sure about it right now because I've not been there recently. Would you mind my jotting down some memos? I'll check it out using my smartphone and let you know when we arrive
at the hotel."
「申し訳ありませんが、最近行っていないのでよくわかりません。 いくつかメモを取らせていただいてもよろしいでしょうか? スマホで調べてホテルに着きましたらお知らせします。」
・「プレゼンの中で兼六園を訪れる一番良い時期を教えてもらいましたが、では、最悪な時期はいつですか。」
これに対して、以下のように返答しました。
" I think the worst season to visit Kenrokuen garden is the winter because we sometimes have sudden heavy snowfall."
「兼六園を訪れるのに一番悪い季節は冬だと思います。突然の大雪が降ることもありますから。」
※もちろん、冬は雪つりの景観、雪景色の兼六園は、must-seeですが、プレゼントの整合性を取るため、敢えて触れませんでした。
②「逐次通訳」の出来は最悪でした(苦笑)。
読み上げ速度が、思っていたよりも遅すぎ面食らいました。
試験ではろくにメモを取れず、また、読み上げ速度が遅すぎて、内容が頭から消え、かなり焦りました。わずかなメモを頼りに、言いよどむことなく1分しゃべり続けましたが、多分かなり誤訳していたと思います。
③ ロールプレイでは、試験官から会話を始めるのか、こちらから始めるのか全く???で、とりあえず私から以下のように始めました。
私:"First and foremost, I'll ask the restaurant manager to see if coffee or some kinds of tea are available."
「まず最初に、レストランのマネージャーにコーヒーか何かしらの茶があるかどうか聞いてみます。」
試験官:コーヒーや紅茶は和菓子と会うと思いますか。
私:"I think that they are definitely good for Japanese sweets."
「和菓子には絶対合うと思います。」
ここで時間切れでした。
通常、会話のキャッチボールが、もっとあるはずだったので、いまいち不安な出来となってしまいました。
ただ、最後の挨拶までしっかりやることにしていましたので、必ず言おうと決めていた、
"Thank you so much. You made my day! See you!" と言って退席しました。
「本当にありがとございました。今日はとても楽しかったです。さようなら!」